マーケティングミックス( 4P )

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古くからやっている地元の中華料理屋さんというのは色んなところにあるが、これをひとくくりにして「町中華」と呼称し出したのは最近のことだ。町中華を紹介する番組もあって、私はそれを録画してまで見たりするのだが、大抵は同じような料理をただひたすらに食べているだけの番組で自分でもどこがどのように好きなのかよくわからない。

大抵の場合、お店を切り盛りする人、つまり店長さんはかなりの高齢で店も古い。何十年とその町に根ざして愛されてきたというのだから頭が下がる。もちろん、赤字経営で長いことやれるハズはないので、店じまいをしていないというのはビジネスとしても成功しているという証だろう。

モノを買うときの私たちは大抵その商品の本質的な魅力に惹かれるものだが、いくら商品が良くても価格が消費者のニーズに合わなければ売れようがないし、お店の設置場所が悪ければこれまた儲かりようがないということになる。加えてどのようなプロモーションをするか、というのがマーケティングミックスという概念だ。

プロモーションといってもテレビコマーシャルを流す、という大げさなことばかりではない。お店の看板をどう目立たせるかとか、最近では口コミの延長的な意味でSNSやXの利用も販売戦略として有効だろう。マーケティングミックスはProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotionの頭文字をとって「4P」とも呼称する。

健康促進を目的としたアプリを例にとって考えてみよう。本来的な製品価値という意味では「いかに顧客の健康増進に貢献するか」がその本質だろうが、健康アプリの場合は長いこと使ってもらわないとその目的の達成はほぼ不可能なので、「操作性のよさ」が製品価値の第一義となるだろう。

加えて価格がいくらならダウンロードする気になるかを考える。ダウンロードの際に全額とするのか、それとも毎月少額ずつとするのかも重要なポイントだろう。医療機器として認可されれば、利用者負担は3割で済むので要するに「いつでも70%オフ」。加えて、医師がそのダウンロードを提案するのであるからプロモーション戦略としても強力だ。

とはいえ医療機器としての認可のハードルは低くない。むしろ価格を無料にして、稼ぎの方は広告のリンクでまかなうという手も選択肢となろう。

アプリにPlaceという概念はしっくりこないかもしれないのだが、要するに「流通」をどうするのか、という話であり、医療機器として認可されるならば医療者経由で、XやLINEなどからの導線で購入を促すならSNSがPlaceということになろう。

公衆衛生分野にあって、4Pのようなマーケティング領域のハウツーを利用した健康増進の戦略は「ソーシャルマーケティング」と呼称する。健康増進アプリの販売促進は、その意味ではソーシャルマーケティングと言えるだろう。

一方でスマホゲームはその逆ともいえる。夢中になって何時間もゲームをする人、増加中、となれば商売としては大成功だが、ヘルスケアの視点では「大敵」にも映る。ただし、このところはこうしたゲームの「夢中にさせる」ノウハウまでソーシャルマーケティングとして使って人々の健康増進に貢献させようという動きが見られる。これをゲーミフィケーションという。

その意味ではヘルスケアをプロモーションしようという、公衆衛生の学者や実践家らは(私もそこに含まれていると思っている)、善人のようでいて案外とたくましく、「盗人、猛々しい」ところもあるようだ。

以上

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