外部経済( external economy )

ブログ

梅雨に入ったというのに今日は雨も降らず、かといって湿度の高さは梅雨そのもので電車を待って駅のホームに座っていたら汗だくになってしまった。ふと、となりにおじさんが座ってきて団扇で顔をあおぎ出したのだが、その風が私にもあたって心地よい。

ここは東京、出張の途中であったが、先日まで身をおいていた滋賀県のセカンドハウスのことをふと思い出した。

滋賀県に家(マンション)を買おうと決めたのは、何より京都に近かったからであって、やはり京都は私にとってそれだけ魅力的な都市ということである。

一方で、その昔、会社の先輩からは「京都は住むところじゃないよ」と言われたことを忘れずに覚えてもいた。排他性というのか、古くからの街である京都はよそ者には厳しいらしい。ホントかウソかはわからないが、何となく説得力を感じる話だ。となれば話は早く、京都ではないが京都に出やすい街以外に買うべき場所もないというわけだ。

ということで買うべき家は京都駅には10分で着く大津市一択だったわけだが、もう1つの悩みは山側の部屋にするのか、それとも水側の部屋にするのかである。購入を決めた家というのは山と水辺に囲まれている、滋賀県にしては大規模なマンションである。もちろん、マンションそのものを買うというような大富豪のお話ではなく、どこの一部屋を買うかというお話である。

関西の人であればもうピンとくると思うが、山というのは比叡山、水側というのは琵琶湖のことである。全国的にも名の通る両者のどちらかを部屋から眺められるというのはなんとも贅沢な話だ。

ただ、金額ということになるとこれは随分と違う価格設定である。琵琶湖が眺められる部屋の方は、同じ階、同じ部屋の広さであっても比叡山側と比べて4割ほども金額が高い。同じ金額設定であれば迷わず琵琶湖を眺められる部屋の方にしたかったのだが、さて困った。

経済学分野には主体の外側のせいで主体そのものの経済が影響を受けることを市場の外部性と言ったりする。今回の場合は琵琶湖がその外部性、「外部経済」ということになる。もちろん、正の外部性、負の外部性という概念があり、マンションの価格への影響ということでいえばパチンコ屋や葬儀場が近所にあると負の外部性、マンション価値を落とすらしい。

悩んだあげく、お金を奮発して琵琶湖が見える部屋を購入することにした。営業担当の人の助言(?)、「後悔しない方の選択はどちらか、と考えたら琵琶湖側がよいと思います」というのが決め手にもなったのだが、ひょっとしたら単なる営業トークだったのかもしれない。

東京にいながら琵琶湖のことを思い出したのは、となりのおじさんの団扇から吹いてくる心地よい風のせいである。外部経済の風、とでも言おうか。

以上

コメント

タイトルとURLをコピーしました