BL0100 ディドロ効果( Diderot Effect )

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「ガチャ」という表現が市民権を得たのはいつ頃だったろうか。お金を入れてハンドルを回すとカプセルに入ったおもちゃが出てくるという、そのガチャはその昔は駄菓子屋の店先くらいでしか見かけなかったが、今では至る所にある。

「ガチャ」ばかりがたくさん設置されていてお店の人さえいない店舗さえある。それどころかむしろその「ガチャ」が呼び水となって集客に貢献しているというショッピングモールまである。「おみくじ」がそうであるように、ちょっとした運試しというのは誰しも楽しいのだろう。

ただ、やはりそこにはギャンブル性があるので注意が必要だ。例えば主要キャラ5人全部のフィギュアを手に入れようとしたとしよう。最近のガチャは私が子供の頃のように10円だとか100円だとかではなく300円くらいが相場なようで、コンプリートしようとしたらそれなりにお金もかかるだろう。

最初の1回目のガチャはどうということがない。同じキャラがカブることもないので300円の投資には何ら危険性もないだろう。ところが2回目となると少々、リスクを背負うことになる。単純に5体のフィギュアが入っている確率が全て5分の1、つまり20%だとすると、既に手に入れているキャラが出てくるリスクが20%もあるので、うまくキャラ被りを避けることが出来る確率は80%だ。

この2回目がたまたまその80%でうまくいったとして、残りの3種類のフィギュアを手に入れるにはさらにリスクが高まる。3回目まで被り無くうまく行く確率は80%×60%=48%でしかない。

何より4体の異なるフィギュアを手に入れたあとの、最後の1体が鬼門となる。すんなりと行く確率は20%しかない。もちろん5回のチャレンジで異なる5体のフィギュアが手に入る確率もあるのだが、期待値としては5体全て手に入れるには5000円以上が必要となる。

ヒトはこのコンプリートに大変な魅力を感じるらしく、99%の確率や純度をさらに高めて99.9%を追い求めるコストをたくさん使うという心理学の研究も多いらしい。ディドロ効果とはこのように「コンプリートしたい」心理のことだ。

創刊号だけ安価にしておいて、2冊目以降を高額にするといった売り方で有名な会社さんなんかはその象徴だろう。また、カードショップなどで割高で売られている中古カードも、「コンプリートしたい」人にしてみれば割安に感じられることだろう。ディドロ効果、恐るべしである。

それでもお金で解決できるガチャはまだマシといえるのかもしれない。親ガチャ、あるいは産まれてくる時代や国、地域についてはやり直しが効かないのだから。

以上

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