BL0108 ドアインザフェイス( Door in the Face )

ブログ

トランプ大統領が就任してからというもの世界全体が何だか浮足立っている。

ウクライナ問題やパレスチナ問題、あるいは移民や関税といった様々な世界的な課題が、少しずつ動き出しているようにみえる。その帰結が今よりもよい状態になるのか、それともその逆になるのかはわからないが、バイデン大統領時代の「恐らく何も変わらない」というあきらめよりはマシにもみえる。今朝ほどは日本にとって大きな課題である北朝鮮問題についても、トランプ大統領ならば突破口があるといった論調で報じられている。氏の人間性や言動については様々な批判もあるが、国と国との折衝力という点だけ切り取るならば、現状を変化させるポテンシャルという意味では前任者よりも期待が持てると世界は見ているようである。

折衝ごとが簡単なことではないことを誰もが理解していることだろう。商談、就活、婚活、何をとっても簡単ではないし、もし私たちに折衝力が備わっていたならば、たやすくよい就職先に務め、良い伴侶に恵まれるという人生を得ることが出来る。それは必ずしも誠実さや科学的知見で勝ち得ることが出来るものではない。こちら側の正当性や都合ばかりを主張したところで話は平行線になるどころか、かえって相手が意固地になってしまい、当初よりも関係が悪化するということも珍しくはない。

とはいえ日米関係に話を戻すならば日本の基幹産業である自動車の関税などは、かなりのピンチな話ではある。只今報じられているようなものに本当になるのだとしたら、自動車メーカーだけでなく日本としても大きな打撃となることだろう。果たして、25%関税というのは、本気なのか、それとも吹っ掛けているだけなのか。

折衝戦略として「ドア・イン・ザ・フェイス」は有名である。まずはとても了解できなさそうなことを先に吹っ掛けておいて、そこから徐々に妥協をしていくというやり方は、ビジネスシーンではしばしばみられる。

ドア・イン・ザ・フェイスの語源は「門前払い」という意味である。“お話になりません、お帰りください”、といわれてしまいそうな、こちら勝手な提案を持ち寄るわけで、英語でのshut the door in one’s faceからこの言葉が生まれたという。

これは心理学分野の参照点依存性にも通じているといえるだろう。

最初の価格が10万円だということがわかると、それが参照点となって意識され、値引きされての8万円が何だか安価に思えてくるといった心理だ。最初から8万円という価格で出すよりも売れる。なんてことはない作戦ではあるけれども、有効だからこそ未だ現役の戦略といえる。

トランプ氏という強烈なキャラクターがアメリカ大統領に再び就任したということが、果たしてどのような世界の現状変化をもたらすのか目が離せない。

以上

コメント

タイトルとURLをコピーしました