BL0110 ローボールテクニック( low-ball technique )

ブログ

このところは極端に寒い日と暖かい日があって、体調を崩しがちだ。服装だけでなく、食べ物にも影響があって、暖かい日には興味のない鍋料理が、雪の降るような日は恋しくなる。

先日、鍋にしようということでスーパーに行ったのだが、白菜が強烈に高くて驚いた。まるで高級食材のような価格だったので、とりあえず1/4に切られた白菜で妥協したのだが、価格の高騰はいつまで続くのだろう。

色んなものが値上がりしていて困るのは私たち消費者だけでなく、売る側もだろう。“100円ショップ”などは最たるもので、価格が高騰すれば100円で売れる商品も減る一方だと思う。実際に行ってみると、「300円」という値札が付いている商品も少し売られている。確かに「全品100円」と約束しているわけではないのでルール違反ということでもないし、逆に「この品質で300円ならばOK」という商品もある。案外と100円ショップは価格高騰の折でもしぶとく商売をしている。

マーケット戦略的に概観すると、「基本的に100円の商品がほとんど」ということで店に立ち寄らせ、「実は300円やそれ以上の商品もそこそこある」という商法は、フットインザドア、つまりハードルを下げておいて呼び込み、そこから財布のヒモを緩めさせるというマーケット戦略といえるかもしれない。

許容しやすい条件でまずはOKさせてから、というマーケット戦略にはフットインザドアの他に「ローボールテクニック」というのがあるので覚えておいて損はないだろう。これは低価格の商品でひきつけてから高価格商品を売るというフットインザドアとは違い、簡単にいえば「サギまがい」のテクニックである。

例えば、先の100円ショップにて300円の商品に値札をつけないでおいたとする。あるいはよくよく注意してみないと300円であることがわかりにくい表示にしておく。商品を100円だと勘違いしたお客さんが手に取り、支払いの段階になって店員から「こちらは300円の商品ですが、宜しかったでしょうか」ということを、“戦略”としてやるのがローボールテクニックだ。つまり、魅力的な条件だけをアピールし、マイナス条件は既に購入することを“決意”したその後でやるのだ。

100円だと思ったので買おうとしていたお客さんの多くは300円と聞いて「それならいりません」となりそうなものだが、もう買う、手に入れたもの、と認識していると「まあいいか」となったりもする。あるいは男性に多くありそうな「ここでいりませんと言ったらセコいと思われそう」ということで「構いません、購入します」となる人が一定量いるわけだ。

また、このローボールテクニックは「謝罪」とセットで行われることが多い。つまり、店員がその場で「申し訳ございません、こちら300円の商品でして、値札がわかりにくくて済みません」と平謝りしたら、このテクニックは成功確率が向上するというわけだ。

もちろん、本当に値札をつけ忘れたといったような不可抗力もあるだろうが、そうではなく、「謝罪とセットでローボールテクニックを使う」ことを社員に徹底して販売戦略として行うということはあり得なくもない。

要するにローボールテクニックは「サギまがい」な戦略である。フットインザドアとは“倫理観”がだいぶ違う。消費者である私たちはその意味で「謝罪+ローボールテクニック」というマーケット戦略があることを知っておくことで、この手に引っ掛かりにくくなることだろう。

以上

コメント

タイトルとURLをコピーしました