BL0116 おとり効果( Decoy Effect )

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大リーグで活躍中の大谷翔平選手に子供が産まれたことを祝福しない日本人はいないだろう。私にも子供がいるので、子供が産まれたときの喜びであるとか、これからの子育てに対する不安だとか、そういった気持ちが少しは想像できる。

少しだけ状況が違うのは愛犬の存在だろうか。犬や猫を飼ったことのない私には1ペット&1女というところの感覚は想像できない。愛犬家はよく犬のことを家族として認識するというので、大谷さんにとってはデコピンが長男で今回産まれた女の子が2番目の子供、といったような感覚だろうか。

最近は「孤独」という社会問題の解決策としてペットを飼うというアプローチもよく提案されている。さながらペットは自分の子供の代わりといったところなのだろう。ペットの存在が家族の代用となり孤独感を解消させるというのであれば安上がりであり、悪い提案では無さそうである。

逆に大谷家のように子供が増えてきたりするとこんどはペットの飼育と子育ての“労務”が負担になって、ペットの存在が邪魔になったりする人もあるのかもしれない。人間は牛や豚を平気で人に殺傷させて食す一方で、犬や猫を愛玩したりじゃけんにしたりとやりたい放題、自分勝手な種族である。

マーケティング戦略に「おとり効果」なるものがある。例えば映画館で小サイズのポップコーンが500円、大サイズのポップコーンが1000円で売られていたとする。大サイズをなるべく多く売りたいときに、中サイズのポップコーンを「おとり効果」として販売するといった戦略である。

この場合、500円と1000円の真ん中である750円という価格設定をしたのではおとり効果はほぼ得られない。そうではなく、「おとり」なのであって「中サイズのポップコーンは全く売れなくても構わない。大サイズの売り上げを上げる目的だけでの販売」として使うのである。具体的にいえば1000円になるべく近い価格設定、例えば「中サイズ900円」として販売する。

ヒトは割安だとか割高だとかを何らかの対照と比べる性質がある。「小サイズ500円、大サイズ1000円」では割安も割高も無いが、「小サイズ500円、中サイズ900円、大サイズ1000円」とすると、とたんに「おとり」である中サイズは割高、大サイズは割安にみえるというカラクリである。

おとり効果はあまり世の中に知られていないこともあってか、マーケティング戦略ではよく利用され、私たちはよく引っかかる。

愛犬が子供の「おとり」ということもないのだろうが、ペットショップに訪れる人はおそらく子だくさんではなく、独身だとか子供がいないとか子育てが一段落した人に限られるのではと考えるのは、ペットのいない私の偏見だろうか。

大谷選手の愛犬デコピンは現地では発音がむずかしいらしく「Decoy(デコイ)」という名前で報じられている。デコイとは「おとり」のことである。大谷夫婦と、娘さんと、愛犬デコイが末永く幸せであることを祈っている。

以上

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