BLO120 ハイプ・サイクル( hype cycle )

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日本の規制はビジネスやイノベーションの足を引っ張ってばかりだ、なんて話をよく聞く。確かに欧州などでは対アメリカという視点でビジネスを促進するための規制更新という戦略も考えられているし、アメリカなどはそもそも規制とはビジネス促進のためにあるくらいに思われているフシさえある。

ところが、日本はとにかく心配性というのか、あれをしてはならぬ、万が一のことがあったらどうするといった風に規制が作られているようで、簡単にいえばビジネスの「やる気をくじいている」ということが往々にしてある印象だ。

ところが先般、可決した“AI法案”は従来の法曹界の常識を覆すかのようなビジネスとイノベーション促進の様相を呈していて驚きである。通常の日本の法整備のように、間違って使ったら有罪だ、のオンパレードになるかと思いきや、なんと、罰則を設けないのだという。EUには既にAI規制法があるが、世界的に見てもAIに関連する方はそれに次ぐ二番目の速さであり、名称も「AI関連技術の研究開発・活用促進法案」となるらしい。

さすがにここまで振り切られると、法規制のシバリにいつも不満を感じていた私も心配になる。個人情報は守られるのだろうか、AIによるフェイクニュースで被害は発生しないのだろうか、作成した文章やイラストの著作権は大丈夫だろうか等々。

新たな技術は決まって「期待が高まる(黎明期)→過度な期待のピーク期→幻滅期→啓発期→安定期」を辿る、としたのはガートナー社が呈したもので、これをハイプ・サイクルという。インターネットもスマホもみなみなそのような大波小波を進んで今に至っている。生成AIは期待が高まり過ぎた期を過ぎた幻滅期あたりだろうか、私のように心配の声も大きい。

思えばハイプ・サイクルは技術業界の専売特許でもないような気もする。例えば恋愛などは燃え上がりやがて頂点を迎え、やがて幻滅に至る、というサイクルを大抵進むようにも思えるのだ。果たしてどこで結婚するのかによって離婚率も変わってきそうで、幻滅期を過ぎたあたりでならともかく、ビビビ、というインスピレーションの期で結婚してしまうと、少なくとも一度大きな離婚の危機を迎えるようにも思える。語れるほどに恋愛経験もないのだが。

さて、AI新法の成立によって日本における生成AIの幻滅期は過ぎるのだろうか。それともさらに“幻滅”に拍車をかけるのだろうか。いずれにせよ、やがて安定期が訪れるだろうことは既定路線と言ってよいだろう。インターネットも、スマホも、みな通ってきた道なのであり、その点は大恋愛の行く末とは違って悲劇的なラストは訪れない。それがハイプ・サイクルなのでもあり、人の営みとはちょっと違うところでもある。

以上

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