BLO129コモンプール財(common-pool resource)

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飲食店のテーブルに置いてある無料の調味料や薬味の使い方がよくわからない。店にはそれぞれの味というものがあるので、あまり使いすぎるのはよくないかなと思いつつ、おいてある以上は何らかの使い方があるのだろうとも思う。先日初めて入店したラーメン屋では自家製のラー油が目立っていたので、途中でラーメンに入れてみたが、あれは餃子に使うものだったらしい。それ以外だとうどん屋のねぎや上げ玉は多めに入れたりもする。ちょっと貧乏くさい?

 無料で利用できるが数に限りがある、そうした性質を持つ財を「コモンプール財」あるいはコモンズという。なお、無料で利用できることは「非排除性」、数に限りがあることは「競合性」とそれぞれ呼称されている。

 所有者のいない木になった実や漁業権が定まっていない海の海産物などは、基本的にすべてコモンプール財といえる。公園や道路も無料のものであれば、コモンプール財と定義できるようだ。

お察しの方も多いと思うが、コモンプール財は無料かつ数に限りがあるため、需要に対して供給が不足することが多い。「コモンズの悲劇」と呼ばれる現象である。最も、「ご自由にお取りください」と書かれているパンフレットなどなら、あまりなくなる心配はなさそうだが。

 大雑把にいえば、私たち人類にとって最も重要なコモンプール財は「地球」だといえる。森林や海、石油や石炭といった資源の利用に対し、私たちが地球にその対価を払うことはない。もちろん、こうした資源を利用するコストは厳密にはタダではないのだが、その費用が安くなればなるほど、地球の資源が枯渇するペースは速くなるだろう。

 

 争いの火種は数えればキリがないが、地球上の限られた資源を巡る争いはその代表といっても過言ではない。資源の争奪戦は、ある意味歴史上最も大きな「悲劇」であるともいえる。

 アメリカの経済学者エリノア・オストロムはコモンズの管理を地域等のコミュニティが行っていることをフィールドワークとゲーム理論によって示し、ノーベル経済学賞を受賞した。従来、コモンズの過剰な使用は政府によって規制するほかないと考えられていたため、こうした理論は人類にとって一種の「希望」と呼べるかもしれない。

 無料で使用できる調味料や薬味の使用量にも、店にとって許容できる限度というものがあるのだろう。適切な使用量に配慮しつつ、使い方も間違えないようにしたい。

(オウセイ)

 

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