BL0134 ハロー効果( Halo Effect )

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恋は盲目、などと言うが有名人の結婚会見で「どういったところに魅かれましたか?」と聞かれて、「全部です」と答えるような人は確かにその類の人なのだろうなとは思う。赤の他人であるのに何から何まで魅かれるというのはまずあり得ない話であって、この「全部です」といったコメントが出てくると、へそ曲がりの私などは「まず離婚するのだろうな」などと思ってしまう。

別のことわざで、「坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い」というのもある。これは当該の僧侶が憎たらしいとなると、もうその人の言動だけでなく何から何まで、身に着けている袈裟までが憎たらしいとなる、という意味であって、真逆ではあるものの「恋は盲目」とちょっと似ている。

管理職に就いた人は部下の評価に関わる必要があって、人間のやることであるのでどうしても人を色めがねで見てしまうという限界はあるものの、会社としてはどうにかして中立に、公正に評価して欲しいということで評価者のための人事研修などを行ったりする。その中にあって「その人の特出する特性に引っ張られて、他の特性を見誤ることがアルアルなので気を付けましょう」と指導されたりする。

これは要するに「恋は盲目」「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」といった評価ミスが起きないように、ということである。プレゼンが抜群にうまいと、実務が案外と不器用であってもそちらまで高い評価をしてしまったりすることは確かにあり得る。論理的な思考に長けた人は仕事全てがうまい、などと勘違いしたりもする。こうした心理は「ハロー効果」という。

確かに、冷静になってみると行動が早いという特性の人は案外と論理的思考を苦手にしていることも多く、その逆に論理的思考が長けている人はリスクに敏感すぎるのか、行動が一歩遅い、などというような長所と短所は表裏一体であったりする。またプレゼン力と実務力とは無関係のようであったりもする。ハロー効果という言葉を研修で学べば、少なくとも学んだことのない人よりはハロー効果による間違った評価をする可能性は下がりそうである。

ハロー効果は何も会社における人事評価だけではないだろう。“推し”などという言葉が一般化しているが、“推し”に対しては盲目、何から何までが好き、といった“沼”にハマっているともいえる。沼にハマっているときは幸福なのだろうが、ふとしたときに“推し”の残念な言動を目の当たりにすると、まるでオセロのコマのように全ての白が全て黒く見えてきてしまい、「全部が大嫌い」となる恐れがあるので要注意だ。

アメリカの大統領、トランプ氏の評価については「強く肯定」する人と、「強く否定」する人との両極に分かれる印象がある。前大統領のバイデン氏のときはおそらく「どちらでもない」が多かったのではと思うのだが、あれだけの個性派だとそれが許されそうにない。

私などはトランプ氏の言動には否定派に傾くのであるが、それでもロシアの大統領と対談をするということが出来ること、また今度は北朝鮮の首脳とも対談するという話が持ち上がっており、これは西側における数多の国のトップの誰もが成し得なかったことであり、とにかく凄いのである。「強く否定」に傾く人は「どうせ何も進展がないに決まっている」「プーチンに操られている」などと批判するが、こうした批判はお門違いも甚だしい。議論のテーブルにつけること、それ自体が大きな成果なのである。

反トランプの立場であってもやはり賞賛すべきは賞賛すべき。それがハロー効果に惑わされない態度というものだろう。

以上

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