BL0163 囚人のジレンマ(prisoners’ dilemma)

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Run for money!!

テレビ番組『逃走中』を視聴したことはあるだろうか。『逃走中』とは芸能人などの出演者が「逃走者」となり、追いかけてくる「ハンター」達から決められた時間まで逃げきれれば賞金を獲得できる、というゲームをする企画である。(正式なタイトルは『run for money 逃走中』)

 逃走者は複数人いるのだが、賞金を獲得できるのはあくまで最後まで逃走できた者のみなので、その点はシンプルな個人戦である。一方で、ゲーム中に「ミッション」が与えられることもあり、全員で協力したり、助け合ったりする場面も見られる。ミッションの中にはだれかがリスクを冒すことで全員が得するようなタイプのものもあり、危険を冒してミッションに挑戦するか否か、というそれぞれの人間性が垣間見えるところも番組の見どころだろう。

 番組全体を通して、自分の利益を最優先するプレイヤーばかりだと、ミッションが成功しにくく、ゲームがうまく進行しないといえる。みんなが自分の得することを考えるとうまくいかないという状況は、「囚人のジレンマ」に似ているところもあるかもしれない。

 囚人のジレンマはゲーム理論における1つのテーマである。まず、二人の容疑者がいると仮定し、それぞれA、Bとしよう。ここで、それぞれの容疑者が、「自白すれば罪を軽くする」という取引を持ち掛けられる。一方で、相手側が自白した場合は罪が重くなる。具体的には下の図のような状況だ。

 B:黙秘B:自白
A:黙秘A:懲役2年 B:懲役2年A:懲役10年 B:懲役0年
A:自白A:懲役0年 B:懲役10年A:懲役5年 B:懲役5年

なお、それぞれ相手が黙秘か自白のどちらを選択したかはわからない状況であり、話し合うこともできない。

 さて、まずはAの立場で、どうすれば罪が軽くなるか考えよう。Bが黙秘を選んでいる場合、黙秘すれば懲役2年だが、自白すれば懲役0年となるので、自白した方が良さそうだ。そして、Bが自白を選んでいる場合、黙秘すれば懲役10年、自白すれば5年だ。ここでもAは自白した方が良い。つまり、罪を軽くしたいのであれば、Bの選択に関わらずAは自白した方が合理的ということになる。

 図を見ると、BもAと同じ状況であることが分かるだろう。よって、Bが自分の罪を軽くするためには、自白したほうが良いといえる。

 さて、AもBも罪を軽くしたい場合、双方が自白することになり、懲役はどちらも5年だ。お互いが黙秘を選んだ場合はどちらも2年であり、両方自白した場合と比べて、2人とも罪が軽い。結局、双方が自分の得を考えていると互いが損してしまうのが囚人のジレンマという状況なのである。

 さて、前述した逃走中においては、参加者の誰もが自分の得ばかりを考えているというわけでもない。他のプレイヤーのためにリスクを冒す参加者も毎回一定する存在する。あくまでバラエティであり、評判を気にしての行為という側面もあろうが、誰もが最適解を選ぶわけではないというところが、人間というものの面白さかもしれない。 

                                  (オウセイ)

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