類似性の法則(law of similarity)

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ジャニーズ問題は先日の社名変更で少しは着地点が見えてくるのだろうか。「名前を変えただけではどうにもならない」という声もよく聞こえてくるのだが、心理学分野ではなかなかどうして、「たかが名前、されど名前」、私たちが想像するよりそのパワーの大きさはいくつも研究結果として示されている。

たとえば、まったく同じ成果を出した2名に対しても、私たちはその人の名前が呼びやすい、読みやすい方を高く評価するのだそうだ。また、自分の名前とよく似ているならばそれだけで親近感もわくという。私の苗字は「青木」だが、完全一致ではなく「青山」であっても「青樹」であってもその感情は動くらしい。

そもそもその根っこのところには「類似性の法則」というのが知られており、ふとした拍子に趣味が同じことがわかった友人に対して親近感がわいたという経験は誰にでもあるだろう。

それも、なるべくマニアックな方が類似性の法則をもたらすらしい。「ラーメンが好き」くらいならば大した類似性は感じないだろうが、「コロッケそばが大好き」くらいになると、親近感は爆上がりするかもしれない。

また、類似性の法則が当てはまるのはモノの好き嫌いにとどまらない。行動様式として朝が苦手だとか、不器用だったり面倒くさがりのため紐のついた靴を決して履かないだとか、そういったところの共通点にも私たちは親近感を感じてしまう。

私の家族の評価によると、私のバウムクーヘンの食べ方は異質なのだそうである。溝を無視して縦方向にフォークを入れることがどうしてもためらわれ、溝にそって食べるのが常だ。先日、実家に帰ったときに妹が同じ食べ方をしていたので、なるほど血は争えないのだなという、およそ科学的裏付けのカケラもない親近感が沸いた。

その意味ではジャニーズ事務所は名称を変えただけではそれはゴールではないものの、少なくとも名称を変える必要はあっただろう。それなくしては先にはいけまい。

ところで、昨今の名称の“販売”はどうなのだろうとも思う。神田駅は「アース製薬前駅」という名称がつくらしいのだが、これが山手線全部でやられてしまうのはたまったものではない。

ナゴヤドームは確かいま「バンテリンドーム」と呼称しているようだし、「ベルーナドーム」なんていうのはまだバンテリンドームほどの認知度はないと思うが、ついこの前までは西武ドームと呼称していた野球場のことだ。

まあ、日本のプロ野球球団はその発足当時から企業名がついているので、あんまり目くじらをたてるものでもないのかもしれない。ただ、なんだか魂を売るようで、もうじきこうした動きに対して“反対運動”が起きるだろうと予想している。

以上

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