外的妥当性(external validity)

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「全米が泣いた」なんていう謳い文句で上映される映画も多いが、これが日本ではさっぱりヒットしなかったということも珍しい話ではないだろう。

医薬品として承認するかどうかの臨床試験においては、妊婦や小児どころか、80代、90代といった超高齢者もその被験者の対象から外して行われることが普通である。

大いにその効き目が期待される新薬候補だからといって、まだまだ人間に処方された実績が希薄な状況では、超高齢者においてあらぬ重篤な副作用が発生してしまってはいけない。こうした理由から、持病を持っている人なども研究対象から外されることになる。

とはいっても、実際のところこうした医薬品が承認された後で処方される“代表選手”が超高齢者ばかりということも珍しいことではない。承認申請の際に処方される人たちの平均年齢が50歳前後で、実際に処方される人たちの平均年齢が80歳以上ということもよくある話だ。

つまり、「50歳代では効き目が証明された」ので、承認された医薬品が果たしてその効き目や副作用の心配度合いなども含めて実際の患者群であるところの80歳ではどうか、ということについてはちょっとエビデンスが乏しいということになる。実際のところ、想像以上に副作用リスクが高くて、発売後しばらくして市場から撤退したという医薬品もある。

そうは言っても、では臨床試験に子供や妊婦、超高齢者も含めるべきだ、ということにはなかなかならない。悩ましいところでもある。

このように臨床試験の結果が、実際の患者さんにフィットしないような場合は「外的妥当性がなかった」という言い方がされる。50歳前後で、しかも他に主だった合併症もない人たちで証明された効き目と副作用懸念が現場では再現されなかったというわけだ。

また、他の言い方もある。「一般化可能性」であるとか「転用可能性」といった具合だ。アメリカ人だけで行われた臨床試験の結果をもってして、そのまま日本でも承認するというのがためらわれるのはこうした「外的妥当性(=一般化可能性)(=転用可能性)」のエビデンスが弱いからに他ならない。

かくして「全米が泣いた」からといって、必ず「日本が泣いた」とはならないだろうというお話である。

「本格的四川料理」なんていうのも、ちょっと辛そうで、お腹の弱い私は文字通り「病院送り」となる可能性が高い。むしろ本格的ではない、日本人に向けたアレンジを施した四川料理の方を選ぶ方が無難である。とは言え、味覚の方は昔から激辛好きであったので、未だそのギリギリのところを“攻め”たりして、家族によく怒られている。

以上

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