先日、部署横断の懇親会のお誘いがありお邪魔してきたのだが、16人の参加者のうち、案外と私の所属する「医薬安全性本部」からも私を含めて5人が参加していた。なるべく知らない人と知り合いになろう、なんて思って参加したのであるが、飲み会の場ではやはり同じ本部同士が近い席に座ることになった。
こういうのはよくある話だろう。ただ、その4名のうち1人は1年目、1人は2年目、1人は4年目の社員であり、コロナの影響もあってそもそも同じ部署であってもほとんど話をしたことが無い面々であり、その意味では有意義な機会であった。
残りの同じ本部からの参加者O氏は10年目くらいで、私もよく知る彼をよく見ると、2年目のM氏とよく似たシャツを着ている。「すごく似たシャツだね」と聞いてみると「まったく同じシャツです」と返ってきた。ユニクロで買ったシャツらしく、ユニクロ恐るべしだ。
それにしても人と服装がカブるというのは何とも恥ずかしい気がするのは何故だろうか。これも個人差がある話であって、ユニクロで買った服をそのまま着てくるようなその2年生と10年生の二人は、私ほどにはその羞恥心やカブるかも、という警戒心が無いのかもしれない。あまり気にするようなことでもないのかもしれないし、もし人とカブる、なんてことになったら笑える、むしろ「おいしい」という価値観もあるかもしれない。
ただ、「人と同じのは嫌だ」という心理はスノッブ効果という名前がついていることからして、ある程度は万国共通の心理といえるだろう。思えば不思議な心理であり、バンドワゴン効果、つまり「行列が長いとその店はよい店だ」と感じる心理とは真逆にも思える。ある種のアウトロー、一匹オオカミのようなカッコ良さみたいなのもある。
しかしながらよくよく考えてみると、「人と同じなのは嫌だ」の心理は、「我が道を行く」とは本質的に全く違う心理である。「我が道を行く」人は、今回の選択が人と同じなのか、それとも違うのかには無頓着である一方、スノッブ効果というのは「他人がどうであるのかとても気にする」。その意味では、選ぶ選択肢は違えども、その心理作用は一匹オオカミのそれとは違い、バンドワゴン効果の心理と同じともいえるだろう。
マーケター、つまり商品やサービスを売るプロも当然のことながら「バンドワゴン効果とスノッブ効果は共存可能」なことをよく知っている。スノッブ効果は「へそ曲がり」ではあっても「一匹オオカミ」ではないからだ。たとえば、スマホやノートPCの「色違い」商品戦略はこの心理をよく突いたマーケット戦略といえるだろう。決してその色を多くは販売しない、希少性を保つのがミソだ。
私も以前、このような希少性の高い色のスマホを購入したことがあったのだが、それはスノッブ効果なのかというとちょっと違うかもしれない。お店の人の説明を聞くとどうやらスノッブ効果を狙って発売した個性的な色だったが、人気がなくこれだけが売れ残っている、そんなところであった。
確かに人気の無さそうな色だ。逆にこの色でなければお店に在庫として残っていなかったとも言えるので、これを買うのはある意味、運命的出会い、奇跡かもしれない、、、なんてカッコいい話でもないな。単に私がスマホ時代に取り残されているだけのことだ。
以上
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