お金では手に入らないものもある。先日通販サイトで、商品を購入しようとしたが、在庫がない。店頭にいってくまなく探したが、やはり見つからなかった。やれやれ。
「チケット不正販売禁止法」が2024年から施行されている。いわゆる「転売」を禁止するものだ。ライブ会場のチケットというものはいかんせん数が限られているので、こういった措置に頼らざるを得ない側面が強そうだ。
一方で、大阪万博などチケットの売れ残りという問題もしばしば起こる。チケットを販売する頃にはその会場を使うことは確定しているので、値段が高すぎて大量に売れ残った場合は悲惨である。
ところで、ライブチケットなどでは、はじめは値段を高くして、徐々に下げていくというやり方もあまり聞いたことがない。需要と供給のバランスによって必ずしも適切な量と価格を決めることはできないようだ。
「最適な供給」。これはなかなか難しい問題だ。供給する側は、形式的には商品の値段と供給量を自由に決めることができる。しかし、買い手と売り手が十分に存在する自由均衡市場においては、供給者の価格や供給量はあらかじめ決まっているというのが経済学の基本である。
企業が業界の中で独占的な地位を占めている場合は、自由に価格設定を行うことができる。消費者にとっては、値段が高すぎ、供給量が少ない、といった事態がしばしば起こり、社会全体で見てもデメリットが大きい。経済学ではこうした独占を防ぎ、効率的な市場を作ることについて学ぶこともある。独占禁止法も社会全体にとってのメリットを優先して作られた法といえそうだ。
また別の状況としては、企業が供給できる量がそもそも限られている、という状況が考えられる。これは、しばしば短期的、部分的におこる事態である。前述したライブ会場のチケットでいえば、ライブに参加する人々が多いと、その分大きな会場が作られたりするので、長期的あるいは平均的には、最適な供給が実現される。一方で、1回1回のライブでは、需要に応じて会場を変えることが必ずしもできないため、需要が過熱し供給が追い付かない、つまり席が足りない状況などが発生する。
冒頭で述べた商品の売り切れのようなことはままあることだが、新型コロナウイルス感染拡大時は、室内で長い時間を過ごす人が増え、「巣ごもり需要」という言葉がトレンドになった。このとき、需要が拡大し、供給が追い付かなかったものの1つがニンテンドースイッチだった。新型コロナウイルスが収束していくと同時に、ニンテンドースイッチの需要も収まったと思われるが、今度はニンテンドースイッチ2なるものが登場し、その供給が注目されている。ゲームを発売日に買うのは、いわゆるゲーマーというニッチなイメージがあったが、今はそういうわけでもなさそうだ。ところで、ライフスタイルの変化がニンテンドースイッチの売上に貢献したわけだが、今度はニンテンドースイッチ2の供給がライフスタイルを変化させたりするのだろうか。巣ごもり供給?
(オウセイ)
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