BL0127私的財(private goods)

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もう、遊びじゃない

これは『ベイブレード』シリーズ最新作、『ベイブレードX』のキャッチコピーである。ベイブレードとはタカラトミー社が販売しているベイゴマを基礎とした対戦用のコマ型ホビーである。その特徴の一つは複数のパーツから構成されている点であり、自分のカスタマイズで対戦することができる。スタジアム上でベイブレードを回し、相手より長く回る、相手のコマを場外に押し出すなどして勝敗を決める。偶然にも相手と全く同じカスタマイズの場合、自分のものを見分けるのは難しくなるのだが、その場合は付属しているシールが頼りとなる。そうでもしなければ、双方が勝った方のコマを「これは私のコマだ」となりかねないだろう。

 いつの時代も「自分のもの」を主張することは難しい。武士の誕生は土地の取り合いが発端だったという説もあり、幕府はそうした土地の所有者を決める裁判所的な立ち位置を持っていたといわれる。現代でも国家単位の領土問題は数えればきりがないし、個人の土地所有に関するもめごとはよくある話である。

 自分のもの、厳密には「自分だけのもの」は「私的財」と呼ばれる。私的財は「競合性」と「排除性」の性質からなっており、自分が使用すれば他の人は使用できず、料金を払った人の所有物になるという特徴がある。食品は自分が食べれば他の人は食べられないし、買った人の所有物なので私的財である。

 私的財は個人でも売買がしやすく、中古市場も盛んである。服や靴、ホビーなどの中古販売に出すことはもちろん、フリーマーケットなどで個人的に販売することも可能だ。自身で使用しない商品を購入し、他人に売る「転売」や「卸売業」も基本的に私的財で行われる。

 

 私的財は市場で自由にやりとりすれば良いので、政府が市場に介入するのはよくないという意見もある。もちろん、世の中は私的財だけではないし、市場に任せていてうまくいくことばかりではない。故に、補助金や罰金によって、政府が市場に介入することもある。アメリカを“震源地”とした高い関税の話には少なからず目を背けたくもなるが、国内の産業を守るという立場からは関税をゼロにして国家間においても全くもって自由なやりとりをすればよいとも言えないだろう。

 奪い合いが起きやすいのも私的財の特徴の一つといえる。かつてベイゴマは勝った人が負けた人の使っていたコマをもらうルールであったらしい。今どきの社会倫理からすれば非常識にも思えるが、文字通「遊びじゃない」という感じである。

(オウセイ)

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