ミラノ・コルティナで開催された今年のオリンピックは地球の裏側だったので多くの競技が日本時間では深夜で行われ、普段通りの生活をしていると競技の映像を見るよりも先に結果がわかってしまうことになる。スポーツ競技で結果が先にわかるほど残念なこともないので、深夜で放送される番組を予約して、どうにか情報を遮断して結果を知らない状態で多くの競技を観戦したのは私だけではないだろう。
サッカーや野球もそうだが、国際大会となると日本人に都合のよい、夜7時から9時に開催などということはなく、夜更かしあるいは早起きするなどしてライブで観戦したくもなるが、それだと体調不良になったりもするので、録画機能は本当にありがたい。少し注文をいうならば、例えばフィギュアスケートの中継中に速報としてスキーモーグルにて誰さんがメダルをとったということをテロップに出すことはやめて欲しい。なるべく見ないようにするのだが、恐らくは日本人が活躍したのだな、という雰囲気が伝わってしまいそちらの競技の録画を見る楽しみが減ってしまう。
それにしてもオリンピックは私や日本人に限らず世界中の人たちを熱狂させる、素晴らしいイベントである。普段の暮らしの中ではそれほどに愛国心があるとも言えない人たちが、何ら無条件に自国の選手の活躍を応援する。
熱狂が過ぎてちょっとイタイこともある。特に人が判定しなければならないタイプの競技は、点数が辛いだとか甘いだとかで大げさに言えば“国際問題”に火がついてしまうこともある。実際にズルい判定もあるかもしれないのだが、案外と自国愛が強すぎているだけで、アンフェアな判定に見えるということもあるのだろう。
また、メダルが期待されていた選手が期待通りのパフォーマンスを発揮できなかったときの選手に対する誹謗中傷も大いなる課題といえるだろう。今大会では女子スキージャンプの19歳の選手が50人中50位と振るわなかったこと、団体戦でも不調のため自国(ポーランド)が決勝に行けなかったということで常軌を逸したバッシングがあったという。
これについてポーランドスキー連盟がとった行動は選手を守る姿勢として賞賛されたのである。
「我々はヘイト行為を決して容認しません。いま起きていることはスポーツ批評の限界をはるかに超えています。これは個人攻撃であり、選手だけでなく、彼女に近しい人々も苦しんでいます」
こんな公式メッセージを発信し、3本目のジャンプを終えた彼女にバラの花束が手渡され、彼女が嬉しそうにこれを受け取ったという。
このお話については、日本選手である高梨選手も反応したらしく、誹謗中傷した人は一度あのジャンプ台で飛んでみるといいと言ったのだとか。思うに彼女もやれメイクがどうだとか、痩せすぎたせいでスキーウェアが失格になっただとか、言われのないバッシングをいくども受けてきた代表選手の一人なのだろう。
他者が自分とは異なる視点、信念、意図、感情を持っていることを理解・推測認知機能のことを「心の理論」といい、これは人間にしかない機能なのだという。サルにもありそうなのだが、それは他のサルを模倣しているだけであって「心の理論」は所有していないのだとか。本当にそうなのかどうかはサルに聞くことが出来ないのでわからないのであるが、間違いなく言えることは、人間の中に「心の理論」を持ち合わせていない人もいるらしいことである。
自国の選手が期待通りでなかった場合にも賞賛を送れる、それは案外と難しいようにも思え、自分も人のことを言えるほどには高い心の理論を持ち合わせていないようにも思えたりする。
以上


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