科学的方法(scientific method)

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先日、ネット記事で“ごく普通の会社員が「1億円以上の資産」を投資でつくれたシンプルな理由”という記事を見つけて読んでみたのだが、呆れてしまった。

ごく普通の会社員が「1億円以上の資産」を投資でつくれたシンプルな理由
ごく普通の会社員が「1億円以上の資産」を投資でつくるーー。そんなウマい話があるのか?と思うかもしれないが、これは別にウマい話でも何でもない。実際に投資で成功し資産を築いた人はみんな、「シンプルな行動」をとっている。これには専門的な知識の有無は関係ないのだ。

この筆者は25年間にわたって個人投資家の相談を受けてきたというのだが、その中にあって普通の会社員の人でも、1億円以上の資産を投資で作った人をたくさん見てきたという。そしてその良策というのが「何もしないこと」だという。所有する株等の金融資産について、大相場になっても大暴落しても“我関せず”で何もせずに放っておく。

どうなのだろう、これだけ有名な会社のベテラン投資アドバイザーが記事にするということになると多くの人が「なるほど」となってしまいそうだが、果たしてこの方策は正しいのだろうか。

まずは「生存者バイアス」を疑ってみるべきだろう。生存者バイアスというのは、要するに生き残った人の情報だけに偏ることで誤った判断をすることである。経済活動における事例でいえば成功者だけをみて、それがあたかも成功のための法則のように誤解することだ。

例えば「お金持ちになりたければまずは退路を絶て。務めている会社を辞めることで、もう後戻りができないというプレッシャーが起業の成功を後押しする」といったような法則。これは成功の指南書でもありがちなアドバイスであるが、一方で「今日、ホームレスになった」といった種の失敗例にも同様なアプローチをしたという人が多く、こちらを見過ごしているというわけだ。

好況期であっても大不況になっても株等の金融資産を売りもしなければ買いもしないという戦略がどの程度の成功確率か私は調べたことが無い。それでもたとえば1000社ほどの上場企業において、30年が経過した時点で全ての企業が生き残っているわけではないだろう。株価が10倍になっている企業もあれば、その反対に10分の1になっている企業もあるハズだ。

しかるに、そのようなアタリマエのことに思いを馳せず、結果的に1億円以上の資産を形成した人だけを切り取って、「何もしないこと」を成功法則かのように思い違いをするというのはいただけない。同じ戦略をして資産がゼロになったという人もあるだろうに。

ネットでも書籍でも、こうした“非科学的”な経験則に基づく記事は、科学的根拠に裏付けられた記事よりも圧倒的に多い。しかも怪しげなゴシップ記事などではなく、有名な人であったり有名な企業であったりしてこれだからくれぐれも気を付けたいところだ。

こうした“成功の法則”のようなものであっても、科学的なアプローチによって「どうやら本当らしい」とか、「間違えているようだ」という判断をしてくれるのが科学的アプローチ、科学的方法である。

「きっとこういう法則に違いない」という確信があっても、「では実験してみよう」として調べてみると「なんだ、思い違いだった」ということはあるのだ。

科学的方法をウィキペディアで調べてみたところ、

“科学的方法とは、断片化された散在している雑情報あるいは、「新たに実験や観測をする必要がある未解明な対象」に関連性、法則を見出し、立証するための体系的方法である。”

とある。

なるほど。ところでこのウィキペディアの記事には科学的な裏付けはあるのかな。

以上

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